先日、BUMP OF CHICKEN のライブを観に仙台から横浜まで行った帰りに、およそ5年ぶりに夜行バスを利用しました。
5年前は学生だったので特に意識はしていませんでしたが、今回久々に夜行バスに乗ってみて「夜行バスはローコストな分、かなりリスクの大きな乗り物だ。」と感じました。
学生から社会人になって私が最初に勤めていた会社は、営業職でありながら配達がメインの仕事。1週間に数回、一日の移動距離が700㎞を越える「長距離ドライバー」にならなければならない業務がありました。
その経験を踏まえたうえで、「ドライバー目線」で自ら夜行バスに乗り込んでみて、その危険性に改めて気付いたのです。
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運転手一人で長距離を運転するということ
2015年8月現在、夜行バスの高速運行は、「400㎞までの移動距離なら、運行スタッフは一人で構わない」と法律で定められています。
現実、飛行機や電車とは違い、夜行バスの運行スタッフは「運転手は1人」というケースが殆どです。
でも、元長距離ドライバーの身から言わせて貰います。
夜間に一人で乗客を乗せて300㎞以上の距離を移動するのって、はっきり言って「無理ゲー」です。
その証拠に、1年に1回は必ず夜行バスの運行中に発生した大事故がニュースになっていますよね。
恒常的に長距離を運転した事のないであろう皆さんに、「夜行バスがいかに危険な乗り物であるか」教えてあげましょう。
夜行バスのドライバーは、自分のコンディションが最悪でも運転をし続けなければならない
夜行バスが危険である一番の理由は、「運転手の独断のタイミングで休憩を取れない事」にあります。
私は以前の職場では、荷物だけを載せて単独で運転していたので、どんなタイミングでPAに寄って仮眠を取ろうが自由でした。
ですが、夜行バスの運転手が載せているのは「乗客」です。
◆夜行バスの運転手が、急な睡魔に襲われたら一貫の終わり
高速道路を運転していて一番危険なのは「睡魔」に襲われる事です。
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一度でも長距離を運転した事がある方は分かると思いますが、運転中に訪れる「睡魔」というのは、どのタイミングで現れるか解らないのです。
ですが夜行バスの運転手は、休憩の場所も距離ごとにある程度定められているし、到着の時間も厳守しなければなりません。
急な睡魔に襲われても、「次の休憩場所」までは何としてもでも運転を継続しなければなりません。
経験上、襲ってくる睡魔に自分の体調の良し悪しはあまり関係ありません。
前日にばっちり睡眠を取っていようが、眠くなるときは眠くなるのです。
場合によっては、PAで休憩した後、30㎞程度走行してすぐまた睡魔が襲ってくる事もあるのです。
もし夜行バスのドライバーがその状況に陥ったら、「眠いままフラフラになりながらも、次の休憩場所まであと「100㎞」も走行しなけれならない」という状況に陥る事も考えられます。
夜行バスの安全性を考えると、どう考えても気軽に乗るべき移動手段ではない
ドライバーの心理になって考えると、夜行バスはどう考えても気軽に乗るべき移動手段ではないです。
連続勤続日数などの勤務体制がどうとか騒がれる以前に、「400㎞もの移動を自分がどんなコンディションであろうと、一人だけで運転し続けなければらない」状況が問題なんです。
「400㎞以下の移動距離であっても、二人体制での運行」という条件が、安全面での最低ラインだと思います。
それがクリアされない限り、夜行バスは常に事故の危険と隣り合わせにある、危険な乗り物であると言えるでしょう。
私も今回は自分の仕事の都合上、やむを得ず東京~仙台間を一人で運行する夜行バスを選んでしまいましたが、ずっと死神に心臓を掴まれる感覚で、気が気じゃありませんでした。
しかし、この記事を書いてて、「どんだけ恐ろしい乗り物に乗っていたんだ」と自ら恐怖しましたね。
次からは、いかなる事情があっても夜行バス以外の移動手段を考えようと思います。