「家を建てよう」そう一大決心したとき、多くの人がまずハウスメーカーを、次に工務店を思い浮かべるでしょう。
一方で設計事務所は、なかなか候補に挙がりません。なぜなら「料金が高そう」「なんとなく敷居が高い……」というイメージが強いからです。でも、本当にそうなのでしょうか。
そこで今回は、「丁寧なヒアリングにより、お客様にとって本当に価値のある・満足度の高い家づくり」を実践している有限会社リディアルの宮田陽介代表取締役社長に、設計事務所での家づくりについてお話を伺いました。(以下、敬称略)
建築士事務所 リディアル 会社概要
会社名 | 建築士事務所 有限会社リディアル |
代表 | 宮田 陽介 |
住所 | 宮城県仙台市青葉区二日町16-2 |
電話番号 | 022-721-9683 |
営業内容 | 建築設計/新築工事/リフォーム工事/不動産業/小売業(クロワッサンの店 仙台店) |
営業エリア | 宮城県 |
設計事務所の家づくりの流れとハウスメーカーとの違い
設計事務所では「コーディネーター」が主体となって家づくりが進められていく
――まず、設計事務所での家づくりの流れを教えてください。設計事務所で家を建てる場合、企画・コーディネートからスタートすると思いますが、リディアルで心がけていることはなんでしょうか。
宮田:初めに伺うのは「どういう暮らしをしたい」か。そこを徹底的にヒアリングするところから始まります。そして、当然家づくりにも無限にお金をかけられるわけではないので…。使いたい素材、住みたい場所など、細かいところをお話しながら予算に擦り合わせる形で進めていきます。
――ハウスメーカーだとある程度規格が決まってしまうと思います。しかし設計事務所の場合、構造や建材など希望に応じて幅広く対応できるのですね。
宮田:はい。当社では、家づくりにおいて大切なのはバランスだと考えています。例えば今だと土地から探す方が多いですが、土地にすごくお金をかけてしまって建物が小さくなってしまう、なんてこともあります。これって、とてもバランスが悪いですよね。そういう事態を回避するために、バランスが取れていて、かつ希望に沿った暮らしができるプランニングを提供するように心がけています。
――間取りやプランを並行して考えて、それに当てはめるように提案するのでしょうか?
宮田:いえ。希望と予算を伺えば、必要な土地の広さや間取りなどは大体見えてくるんです。リビングは大きい方が良いだろうな、子ども部屋はこれくらいかな、というように。そうすると、土地にかけられる予算も大まかにわかってきます。あとはその土地のロケーションや日当たりなどを考慮して、最良のご提案をさせていただく流れですね。
――本当にトータルでプランニングして進めていくんですね。リディアルには宮田さん以外にも、プランニングを担当される方はいらっしゃるんでしょうか。
宮田:そうですね。私だったり会長だったり、スタッフが誰かしら「コーディネーター」として立ち会うようにしています。
――お客様と設計士が直接やり取りするわけじゃないんですね。
宮田:プランニングをもとに設計図を作成するのは設計士の仕事ですから、直接やり取りすればいいじゃないかと思いますよね。でも、設計士にお客様の声がダイレクトに伝わるか?といったら、そうとは限らないのです。だから私達スタッフがコーディネーターとして打ち合わせに同席して、お客様の潜在的なニーズを引き出したり、疑問や不安を解消するお手伝いをしています。
――「設計士」と「コーディネーター」は明確に役割が異なる、と。
宮田:はい。設計は本当にトータルで考えるのに対して、 コーディネーターの役割は、お客様との間に「何でも話しやすい」関係を築くことだと考えています。実際、設計士とそういう関係を作るのは難しいんですよね。会えるタイミングが限られてしまうので……。
――確かに。設計士の中には、ヒアリングが苦手な方もいるかもしれませんしね。
宮田:お客様からも、コーディネーター相手になら「こう考えている」「もっとこういう風にできないの?」みたいな思いを伝えやすいと言われます。
「設計事務所は料金が高い…」というイメージは本当?
設計事務所の家づくりは、依頼者の予算・要望に合わせて幅広い提案が可能
――設計事務所は「料金が高く敷居が高い」というイメージが世間的にありますが…実際のところ、どの程度予算の調整をしてもらえるのでしょうか。
宮田:よく誤解される部分ではあるんですが…予算についてはお客様の予算や要望に合わせて幅広くご提案が可能です。設計事務所では社内外の設計士や工務店とも幅広くおつき合いがあります。そこに私のようなコーディネーターがお客様の希望に一番合った設計士をマッチングする事で、思い描いているプラン・理想と予算を合致する提案を行う事が可能になるんです。
思い描く理想の暮らしを追及する事で得られる「満足度の高さ」が設計事務所での家づくりの最大の魅力
――なるほど…。でも「設計料」はやっぱり掛かるんですよね。
宮田:設計料に関しては、自社(リディアル)で設計・施工をしても、外部で行ったとしても同じ率です。具体的には、おおむね総工事費用の10%ですね。一般的なハウスメーカーより高めの価格設定…と思われてしまうかも知れませんが、それは私達がそれだけ「設計」が重要で価値があると考えているからです。
自分がどう暮らしていきたいか、理想の暮らしを設計段階から徹底的に追求していくことで、イメージできていなかったプランを具体化することができます。お客様の中ではベストな間取りだと思っていたものも、設計士や我々コーディネーターの経験上から提案してみると、お客様も「こっちの方がいいね」というプランが必ず出てくる。これが設計にこだわる意味であり、価値であると私達は考えています。お金と時間をかけた分、理想をしっかりと形にできるんです。
――やっぱり、家づくりの知識はプロに敵いませんよね。それに仕事や子育てと並行しながら家づくりを進める家庭が多いでしょうから、自分で出す案には時間的にも限界があると思います。
宮田:建てる方にすべてを決めてほしいわけではないんです。まず、どういう暮らしをしたいかをどんどん言っていただく。それを形にするのは、我々の仕事です。半年くらいかけて、打ち合わせ自体も楽しんでいただくことが多いですね。
――ずいぶん時間をかけるんですね。
宮田:長い方だと、1年以上の期間をかけて打ち合わせされる方もいますよ。木材を実際に見に行く方、当社で建てさせてもらったお宅を訪問して実際にお話を聞く方……いろいろな方がいますね。楽しまないと、そんなのできないじゃないですか。
――納得いくまで打ち合わせに時間をかけられるのって、設計事務所ならではの魅力ですね。ハウスメーカーだと、契約時期だったり、営業マン側の都合で急かされてしまうイメージがあります。
宮田:もちろん希望があれば、早く進めることだってできます。逆に納得いくまでやりたい方には、徹底的に細かいところまでご提案できます。
ローンを組むタイミングなどによっては、早く建てたいという方ももちろんいらっしゃいます。でも、一生に一度建てるんだからしっかり考えたいという考え方も、あって良いと思うんですよね。そこに住む自分、周りの環境、子どもがこの先1人、2人と増える……そうやって暮らしを想像することは、家づくりのプロセスにおいてとても大切なことですから。
――いろいろな設計のケースを見ているからこそ、できるアドバイスってありますよね。「今」の環境だけでなく、年数の変化とともに変わっていくことを踏まえたうえで提案していただけるのも、設計事務所の魅力ですね。
宮田:例えば家族が増えれば、それに合った間取りって変わってきます。お客様自身が想像できない未来のことまでちゃんとお伝えするのが、我々の仕事です。そしてそれが、お客様の高い満足度につながると信じています。
「満足度」を追及するリディアルの家づくりのこだわり
シンプルで長持ちする家づくりを
――リディアルでは「クロワッサンの店」という雑貨店も運営しているとお伺いしましたが、こちらはどういったコンセプトのお店なのしょうか。
宮田:クロワッサンの店は、雑誌・クロワッサンから生まれた生活雑貨の店です。「シンプルで長持ちするもの」をコンセプトとした、日用品を中心とした商品を扱っています。安心して買える、丈夫で長く使える。…実はこのコンセプトは、当社の家づくりの考え方とも深く結びついているんです。
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20年間、愛され続ける「クロワッサンの店 仙台店 」|建築士事務所 リディアル/クロワッサンの店 仙台店
クロワッサンの店 仙台についての詳細
宮田:デザイン性のあるものって、流行があるじゃないですか。家にも流行はありますが、流行ではなく長く暮らしても飽きないシンプルさこそが、家にも大切なのでは、と。雑貨屋クロワッサンの店の商品やコンセプトを気に入ってくれたお客さんが、家づくりやリフォームの相談をしてくれる…というケースも多くあるんです。
「最初から完璧な家」を目指す必要は無く「家族と共に成長していく家」が理想
――環境の変化や時間の流れにも対応していける家づくりを心掛けている、という訳ですね。
宮田:そうですね。当社では、先々のことまで考えたご提案をするようにしています。だからこそ、家づくりには完成はなくて良いとも思っています。
例えば当社のある施主様のお宅では、蹴込けこみの無いタイプの階段で設計を希望されました。「子どもがいると危ない」とお考えになる方もいらっしゃるかもしれません。
宮田:ですが、施主様はご自身が消防士をされている事もあり、子どもの成長に合わせて自分で階段にロープを張り、子供が落ちないように自ら細工をしたんです。
このように、工夫をしながら住んでいこうと考えればどうとでもなるものなんです。だから、家づくりでは最初から完璧を目指さなくても良い。むしろ余白を残すことで、家族と一緒に家も成長していく。そういう考え方も、豊かな暮らしを実現する家づくりの一つの形だと思っています。
【リディアルの建築実例】仙台コワーキングスペース「ARROWSSS」の場合
取材当日は「リディアルの建築実例の生の声の提供を…」という要望のもと、なんと施主様にもお越し頂きインタビューをさせて頂きました。
協力して頂いたのは、2019年にリディアルが設計・建築を手がけた「仙台コワーキングスペース ARROWSSS(アローズ)」の運営者である秋葉 淳さんです。
――秋葉さんは、コワーキングスペース「ARROWSSS(アローズ)」の建築をリディアルに依頼しましたが、その理由を教えて頂けないでしょうか。
秋葉:実は現在アローズがある場所は、計画の最初期段階ではアパートを建てる事を視野に入れていました。そこでまずは、ハウスメーカーを片っ端から回りました。色々な会社を比較検討した結果、某大手ハウスメーカーで契約寸前の所まで話が進んでいたんです。
その後、事業計画を具体的に進めていくうち、現在アローズとして形になっている「コワーキングスペース」の運営に興味が出て来て。そこでもう一度、ハウスメーカーに図面を作成し直してもらったんですが…正直そのプランは「コワーキングの“コ”の字も理解できてないんじゃないか」と感じてしまうものでした。
自分のイメージとはまったく違うプランを提示されて、これはいくら議論しても自分の納得のいく建物は出来上がらないんじゃないかと思って。そんなときに、クロワッサンの店を通じて以前からお仕事をさせて頂いていたリディアルさんで、家づくりをしていることを知ったんです。
宮田:出会って2年目くらいに、そういう話をしましたね。
秋葉:それまでクロワッサンの店のイメージしかなかったのですが、設計から施工まで対応していると聞いて。それで設計をお願いすることにしました。
――そんな経緯が有ったのですね…。実際にリディアルに設計を依頼してみて腑に落ちるプランが出来上がったと。
秋葉:そう。リディアルさんからは一発でイメージ通りのものが上がってきたんですよね。「これこれ!」っていう。こういった潜在的な要望を汲み取ってくれるプランは、ハウスメーカーを回っても出てこないものだと思ったので「アローズ」の建築をリディアルで進めることにしました。
――なるほど。リディアルがコーディネーターとして間に入ることで、感じたメリットはありましたか。
秋葉:リディアルさんが間に入ってくれることで、設計に対する要望を伝えやすくなりましたね。いろいろとわがままも言わせてもらいましたが、結果的に予算内でベストと思えるものを作っていただきました。
仙台ARROWSSS 店内の様子――コーディネーターのおかげで、設計士との意思疎通がスムーズにできたんですね。
秋葉:はい。例えば科学者には、説明するのが苦手な人って多いじゃないですか。どんなすごい研究をしていても、それじゃ伝わらない。でもそこに他の人が入って、難しい専門用語を噛み砕いてわかりやすく伝えることができたら、みんな助かりますよね。そういう役割って、実はすごく大事なんです。今回リディアルさんには、そこの役割をしていただいたという感覚です。
――大手ハウスメーカーだと、1人の担当者がいくつもの案件を掛け持ちしているのが普通ですよね。だから、1人ひとりにかけられる時間は必然的に少なくなって、そこまでできないのかなと。
宮田:大手はノルマが厳しいですからね。
――秋葉さんも、最初のハウスメーカーでは担当者が心から取り合ってくれていない雰囲気を感じたのかもしれませんね。
宮田:秋葉さんの件だけでなく、これまでも当社ではこうした姿勢でやってきました。お客様が「こうしたい」と願う完成形を一緒に描く。これが一番大切なことだと思っています。
設計事務所での家づくりはもっと身近であって良い
予算や要望に合わせた提案をオーダーメイド感覚で受けられること、納得いくまでじっくりと打ち合わせできること。設計事務所の家づくりには、ハウスメーカーとはまた違った魅力があるとわかりました。
一般的には敷居の高いイメージが先行していますが、「設計事務所の家づくりは、もっと身近なものだと考えてもらって良いんです」と宮田社長。
理想とする家や暮らし方があるけれど、どう形にしたらいいのかわからない……そんなときは、ぜひリディアルに相談してみてくださいね。