リフォーム工事の契約を交えて、前払金の支払い等の手続きが終わると、いよいよ工事が始まります。工事の打ち合わせや契約作業が立て続いていたため、「後はリフォーム業者さんに任せて工事が進んでいくだけ」と、依頼主としてもひと仕事終えたような充足感があるかも知れません。
しかし、多くの人や物が出入りすることになるリフォーム工事では、どうしても予期せぬトラブルが発生してしまうことが多くなります。そのため、大きなトラブルに見舞われることなくリフォーム工事を進めていく上で、工事を依頼するリフォーム業者に任せきりではなく、依頼主側もリフォーム業者の工事責任者と密に連絡を取りながら定期的に工事現場に顔を出し進捗状況を自ら確認することも自己防衛の手段として大切になるのです。
万が一リフォーム業者が工事の不備を見落としていた場合でも、依頼主側で早期に発見できれば、大きなトラブルになる前に解決することができます。この記事では、工事着工後に依頼主側がリフォーム業者に確認しておくべき項目と注意点について解説していきます。
この記事でわかること
リフォーム工事着工後の流れ
リフォーム工事は工程表に沿って進められる
リフォーム工事の工程は1日単位でしっかりと予定が決められています。
依頼主からの「予定していたより時間がかかった」という不満を防ぐため、着工の準備から引き渡しまで管理しなくてはならないからです。その予定を管理するために使われてるのが「工程表」です。
1日単位で予定を管理する工程表。逆に言えば工程表を見ることで、いつ何の工事が行われるのかが一目瞭然というわけです。特に在宅しながらの工事の場合、工期に応じて室内の荷物を移動させるなどの協力を求められる場合もあるので、工程表を見ながら搬出の計画を立てるのがいいでしょう。
また、工程表で都合の悪い工事日程を見つけた場合、できるだけ早めに申し出るようにしましょう。
工事着工前に近隣への挨拶が行われているか必ず確認しよう
通常、工事の着工前には工事責任者(現場監督)による近隣住民への挨拶が行われます。その際、依頼主は挨拶が行われたか必ず確認をとるようにしましょう。
リフォーム工事中は、多くの職人や材料が自宅周辺を出入りしたり、工事の騒音が響きます。事情を知らなければ、近隣住民は不快に思うかもしれません。
そのため、着工1週間前にはリフォーム工事を担当する業者の工事責任者は、以下の内容が記載された用紙を持参した上で、近隣住民(向こう三軒両隣まで)を必ず行うのです。
- 工事を担当するリフォーム会社の会社名と連絡先
- 工事責任者(現場監督)の名前と緊急時の連絡先
- 工事の内容と期間
例えば、近隣から「工事のゴミが自宅まで飛んできた」「外壁塗装の工事中、塗料が自分の車に付いてしまった」といったクレームはよくあります。
その際の窓口がわからないと近隣住民は不安に思うかもしれません。必ず連絡先を明記した紙を持参した上で近隣挨拶を行ってもらうことが肝心です。
この行程が行わなければ、場合によっては近隣住民の不満が爆発し、クレームにより工事が中断してしまうかもしれません。無事にリフォームが完成したとしても、近所との関係にはヒビが入り、住みづらくなってしまいます。
挨拶が省かれることはほとんどありませんが、確認しておくに越したことはないでしょう。近隣住民の協力無くして順調にリフォーム工事を進めることは出来ません。昔ながらの付き合いがあるご近所宅などは、リフォーム業者とは別に依頼主が挨拶を行ってもいいかもしれませんね。
また、工期が長くなる場合、中間期に再び近隣に挨拶をする場合もあります。その場合は、工事中の迷惑や支障が無いかを聞き、問題があれば対処することになります。
工事中は何度か現場に観に行くようにする
依頼主が現場を見に行くときにはこのような不安がつきものです。
しかし「うちのリフォーム工事に限って不備や瑕疵(欠陥)はない」と信じたいところですが、工事責任者は同時に何件も工事を担当しているケースが多く、材料の発注ミスなどの工事トラブルが発生するケースは少なくありません。
また、書類や図面を見ただけでは想定できなかった部分で、工事が進んだ現場を実際に確認してみてはじめて気づく事も多いです。
- 新しくなったキッチンを見ると、選んでいた壁紙の柄はマッチしなそう、可能なら変更したい
- 思ったよりスペースが広く取れそうだから、棚を増やしたい
このように、工事の変更や追加を発注したくなる場合もあるかもしれません。工事がある程度進んでしまうと、工事内容の変更や追加のために作業をやり直すための別途費用が掛かってしまいます。リフォームが終わった後で後悔しないために、依頼主である自分が現場監督になったつもりで、工事中に自らの目で工事現場を確認することが大切になります。
もちろん依頼主が工事現場を見に行かないからと言って、工事に携わる職人が手抜き作業をする様なことは通常ありません。しかし、依頼主が工事現場に顔を出して注意深く観察している姿を見せたり、素人なりの目線であっても細かい指摘をしてみることで、工事責任者や職人に緊張感を持って作業をしてもらうことが出来ます。
工事中の現場を観に行く際の注意点
依頼主が作業中のリフォーム工事現場を見に行く際には、出来るだけ工事責任者(現場監督)に立ち会ってもらうようにしましょう。作業をしている職人はそれぞれの分野のスペシャリストではありますが、工事全体の流れを把握していないことが殆どで、自分の工事内容に関係しないことは聞かれても答えることができません。
全体の流れを踏まえた上での対応が出来るのは工事責任者です。工事現場を見て気づいたことや不明な点があった場合や、スケジュール通りに工事が行われているか等は、工事責任者に確認を取りましょう。問題が発覚した場合や工事が遅れている場合は、理由や対策を聞くことも忘れてはいけません。
どうしても工事責任者が立ち会えない場合、依頼主だけで見に行くことも可能です。その際、コーヒーやジュースなどの差し入れは喜ばれますが、無くても問題ありません。逆に不要だと言う場合もあるので、予め工事責任者に確認しておくといいかもしれません。ただし、工事の作業内容によっては、切断工具を使ったり危険を伴う作業をしている最中の可能性もあるため、職人の邪魔にならない様にすることだけはしっかり守りましょう。
職人が帰った後か作業を行わない日に、じっくり工事現場を確認してみよう
人が作業している際に見学しても、お互い気を遣ってしまい不備などに気づきづらいもの。職人が帰った後や、作業を行わない日に現場に足を運んでみるのも大切です。
「打ち合わせで選んでいた二重サッシの色と違うカラーのサッシが付いていた」というミスを発見したり、「今まで使っていた浄水器と新しいキッチンの水栓の型が合わなくて使用できない。水栓だけ交換して貰えないだろうか」等、じっくり観ることで気づく事があるかもしれません。内容によっては工事が進んでしまうと対応が難しくなる場合があるため、何か気づいたことがあったらすぐに工事責任者連絡するようにしましょう。
工事の追加・変更をしたい場合は必ず「現場監督」に要望を伝える
リフォーム工事における連絡の窓口は工事責任者である現場監督(リフォーム工事の場合、現場調査や見積書・契約書を作成した担当者が勤める場合が多い)が行うことになります。工事を手がける職人に要望を伝えても、職人単体では工事全体の流れを把握していない場合が多いため、言った言わないのトラブルにつながることもあります。
追加・変更が確定した場合、その都度、見積り額を提示してもらうことになります。その後「工事内容変更合意書」への承認印を押印した後、新たな見積書が作成され、追加・変更が確定するのです。これも職人の権限を越えた処理になるので、細かい変更点でも必ず電話やメール等の連絡手段を使い「工事責任者」へ要望を伝えるようにしましょう。
まとめ
チェックポイント!
リフォーム工事を成功させるためには、工事着工後にも依頼主はやるべきことがあります。
工程表を確認し、都合に合わせて何度か現場を見に行くことで、工事がイメージ通りに行われているかをチェックすることができます。場合によっては追加工事の発注があるかもしれません。
また、工事に対する指摘や追加発注は、工事責任者が窓口になっています。工事内容の変更の権限は職人にはありません。
言った・言わないのトラブルを避けるために、工事責任者に申し出る様にしましょう。