【リフォームの基礎知識】 断熱リフォーム

内窓(二重サッシ)を取り付けて室内の断熱性能を高める方法

2017年6月15日

 

室内の採光・採風のために設けられている「窓」ですが、同時に「窓」は大きな開口部(室内と室外を隔てる"壁"が無い部分)として存在するため、外気の影響を最も受けやすい箇所になります。

特に築年数が古い住宅の窓・サッシの場合、断熱性能が現在の製品と比較するとかなり貧弱なものが多いです。寒い時期に窓付近から冷たい空気が吹き込んだり、窓ガラスに沢山の結露が浮き出てきているのは、窓・サッシの断熱性能に問題があるためと言えるでしょう。

「部屋の中が夏は暑すぎて、冬は寒すぎる」という動機でリフォームを考える方は多いですが、その場合、上記の理由から住宅の断熱性能を効果的に改善する方法として「窓のリフォーム」を行うことをオススメします。

この記事では、「窓をリフォームすることで住宅の断熱性、気密性を高める方法」、「内窓を取り付けることでの断熱効果のメカニズム」、「窓のリフォームの工事費用」についてご紹介します。

この記事でわかること

 窓のリフォームを行うことで住宅の断熱性、気密性を高める方法
 内窓(二重サッシ)取付で断熱効果がある理由
 内窓の取付費用

「窓」が原因で住宅が冷え込む理由

通常、建物の外壁と室内の間には「断熱材」が入っています。冬の寒い日に室内から壁を触っても冷たく感じないのは、この断熱材が外気を遮断しているからに他なりません。しかし「窓」だけは例外です。断熱材は透明ではないため、採光や換気を目的としている窓に対しては断熱材を使用することができないのです。実際、冬に窓を触ると外気温の影響を受けて冷たくなっているのがわかります。また、冬は窓が結露で覆われていることが多いのですが、これは外気温と室温との差が引き起こしているのです。

そういった理由で、窓サッシ付近は住宅で最も外部から冷たい空気が入り込む場所になっています。今でこそ高性能の窓サッシが登場したため、ガラス一枚でも高い断熱効果をあげる事が可能になってきていますが、20年以上前の建物の場合、サッシの断熱性はたかが知れたもの。断熱性を考慮しない普通のガラスが使用されているのが当たり前なので、室内が冷え込む大きな原因になってしまうのです。

 

内窓(二重サッシ)を取り付けて断熱効果を高めよう

では、窓から受ける外気温の影響はどのくらいのものなのでしょうか?冬に住宅から流出する熱の割合を考えて見ましょう。住宅から熱が流出する原因として考えられるのは「外壁」「屋根」「床」「窓」そして「換気」です。窓ガラスメーカー「YKK AP」の研究調査の結果によると、冬に流出する熱の割合が一番高いのが窓からによるもので、その割合は何と52%を占めています。流出する熱の半分は窓からだというのです。

冬だけではありません。夏はさらに外の環境の影響を受けてしまいます。夏に流入する熱の約74%が窓から、という調査の結果も出ています。

窓の断熱効果を高める方法として最もリーズナブルで効果的な方法は「内窓(二重サッシ)の取付」という手段。これは簡単に言えば、今ある窓の内側に新しい窓を取り付けて窓を二重にしてしまう、という方法になります。

 

断熱の要は「空気の層」

画像出典:YKKAP エコ内窓プラマードU

窓を二重に増やすだけで、本当に断熱効果は高まるのでしょうか?内窓を取り付けると、窓と窓の間には「空気の層」が出来上がることになります。

この空気の層こそが、断熱の要になるのです。断熱効果は熱伝導率が大きく関連しています。熱伝導率が低ければ室内は外気温の影響をうけることもなく、窓サッシ付近に冷たい空気ができてしまうことがなくなる、というわけです。

窓と窓の間に出来た空気の層での熱伝導率は何とガラスの40分の1。つまり大ざっぱに言えば、窓間の空気の層はガラスの40倍の断熱効果があると言うことになります。さらに熱の伝達は距離にも関係しているため、外気と室内に空気の層を作り出すことができる「内窓の取付」は、絶大な断熱効果をもたらすリフォーム工事ということになります。

 

樹脂サッシや複層ガラスで更なる断熱効果も


さらに、最近の窓サッシ自体の高性能化も見逃せません。サッシを「樹脂」にすることで断熱効果を高めたり、ガラス自体を一枚ではなく何層にもすることでガラス自体の断熱性を高めた「複層ガラス」を使用したりと、ガラスやサッシの断熱性能の進歩は目覚ましいものがあります。

古い住宅で家の断熱性能に悩んでいる場合でも、高性能の窓ガラスや樹脂サッシを内窓として取り付けることで、かなりの断熱効果が期待できます。

その他にも、内窓には音を伝わりにくくする効果もあるため、近所に騒音の元があったとしても、音が響いてくるストレスを今より軽減できるようになります。また、内窓を取り付けると断熱効果が向上するため、生活が快適になるだけでなく暖房代や冷房代の節約にもなります。

「内窓の取付」断熱効果以外にも利点が沢山あるリフォーム方法と言えるでしょう。

 

内窓取付の工事費用

内窓を取り付ける際は、使用するガラスの種類を「単板ガラス」「複層ガラス」「Low-E複層ガラス」等の種類から選ぶことになります。それぞれ持っている断熱性能に違いがあり、掛かる費用にも差があります。工事を担当するリフォーム業者と相談しながら、自宅に必要な性能を持っているガラスを選ぶようにしましょう。

 断熱効果性能価格
単板ガラス

3~6mmのガラス一枚を使用。断熱効果はあまり高くない70,000円
複層ガラス
(ペアガラス)
3mm+空気の層+3mmの複合構造で出来たガラス。ガラス内の空気層が熱を遮断するため断熱効果は高い85,000円
Low-E
複層ガラス
複合ガラスの性能に加え、ガラスの内と外に「Low-E金属膜」という特殊コーティングが施されたガラス。遮熱性に優れ、ガラスの中でも断熱効果は最も高い120,000円

※価格はサッシが幅1.8m×高さ2mの場合の参考価格

 

まとめ

チェックポイント!

断熱材が入れられない窓サッシ周辺は室内が冷え込む大きな原因になっている
窓の内側に新たな窓(内窓)を取り付けることで、室外と室内に新たな「空気の層」を作り出し、断熱効果を高めることができる
使用する内窓のサッシやガラスの性能によっても断熱性能が異なる。自宅に必要な断熱性能に合わせてガラスやサッシのグレードを選択すること

窓付近は外壁と違い、断熱材を入れることができないため窓サッシ周辺から冷気や熱気が入りやすい状態になっています。しかし、内窓(二重サッシ)を取り付けることで、外部と窓の間に「空気」の層を作り出し、断熱効果を効果的に高めることができます。

加えて、内窓のサッシをアルミから樹脂性のものに変えたり、ガラスを高性能の複層ガラスに変えることで、断熱性能はさらに向上します。

騒音の冷暖房や、冷暖房で掛かっていた水道光熱費も大幅に少なくできるため、「内窓の取付」は断熱リフォームの方法として、最もリーズナブルで効果的な手段と言えるでしょう。



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