【リフォームの基礎知識】

リフォームを箇所ごとに別業者に発注するのは有り?分離発注のリスクとトラブル

2017年7月14日

リフォーム業者を選定するときには、さまざまな業者の情報を調査することになります。

「この業者は○○が安い、あの業者は△△が得意・・・」こうやって色々調べていると、一つの業者に任せるのがもったいなくなってくるものです。

そのため、費用を節約するために複数の業者に発注するという方は存在します。

その一方で「リフォーム箇所ごとにそれを得意とする(または安価でやってくれる)業者に任せることができたら、かなり費用が節約できるだろうな」と考えてはみるものの、本当にそれを実行していいものか、もしかしたらトラブルに発展してしまうのではないかと考え、実行に移さないという方も多いことでしょう。

果たして、リフォームを箇所ごとに別業者に発注するのはアリなのでしょうか?

この記事では、リフォームを複数の業者に発注することによるリスクや、分離発注で起こるトラブルの実例をご紹介します。

この記事でわかること

 リフォームに複数の業者を使うことによるリスク
 工事を分離発注することで起きるトラブルの実例

 

複数のリフォーム業者を同時に起用するとトラブルが起こりやすい

リフォーム工事は担当するリフォーム業者が自社だけで行うものではありません。

「キッチン・浴室の工事は水回りの工事が安くできる “A社”、壁紙の張替等の内装工事は地元でも腕前に定評があるB社」といった具合に、通常は1つのリフォーム業者がそれぞれの設備業者や職人を手配して、工事を進めることになります。

これを依頼主側で行うこと、つまり依頼主側でそれぞれの工事を別々のリフォーム業者に直接依頼することを「分離発注」と言います。

確かに分離発注には、一つの業者に依頼するよりも安価で、自分で選んだ信頼できる専門業者に直接依頼できるというメリットもあります。
しかしキレイなバラには棘があるもの。「リフォーム工事の分離発注」には、相応のリスクがあるということを知っておく必要があるでしょう。

 

リフォームを分離発注する場合、自分が「現場監督」になる必要がある

基本的に、リフォーム工事の分離発注は初心者にはオススメできません。
「分離発注なんて、発注の手間と日程調整が面倒な程度」と思っていたら大間違いです。

リフォーム工事では、発注したリフォーム業者が工事全体を取りまとめる現場監督となります。当然、分離発注の場合は取りまとめる業者がいないので、自らが工事の現場監督になる必要があります。

通常、壁紙張替等の内装工事は、他の浴室・キッチン等の水回りの工事を含む全工程が完了した段階で「仕上工事」として行われます。

1つのリフォーム業者が工事を取りまとめる場合、担当の現場監督が各業者との工事日程等の調整・連携を一任してやってくれるので、「仕上工事の日程」を気にする必要はありません。
しかし、リフォーム工事を複数の業者に依頼する場合、そういった業者間の調整は全て依頼主自身が行う必要があるのです。

 

業者間でトラブルが発生しても、全て依頼主が対応しなければならない

  1. 水回りの工事を行うA社の工事日程が遅れ、内装工事を行うB社の工事日程に支障が出た
  2. B社が内装工事に入ったところ、A社側の水回りの工事に不備があり水漏れが生じていて、壁紙を張ることが出来ない箇所があった
  3. A社の水回りの工事の施工漏れに気付かないままB社が内装工事を行ってしまい、A社は施工漏れ箇所の再工事、B社は工事やり直しが必要になってしまった

このようなトラブルは、リフォーム工事ではよくあることで、ほんの一部に過ぎません。

一つのリフォーム業者に工事を依頼していた場合、業者間でのトラブルがあった場合も全てリフォーム業者の現場監督が責任を取り、トラブルを処理してくれます。しかし、依頼主自身が複数の業者に工事を分離発注していた場合、その業者間で発生したトラブルは全て依頼主自身が現場監督となって対応する必要があります。

①や②の例の場合、契約書に基づいた対応をすれば解決できる場合も多く、初心者でももしかしたら何とかできるかもしれません。

しかし、③の例のような場合、B社には工事の落ち度が無いため、やり直しを行う分に関しては、その費用を追加で支払う必要があります。
A社には非があるため、やり直し工事分の請求や支払いを命じるのが筋なのですが、そこまでの交渉・折衝まで依頼主側で行う必要が出てきます。

分離発注にはこのようなリスクを理解し覚悟したうえで依頼する必要があるのです。

このようなリスクを考えると、普段仕事で住宅のリフォーム工事に携わっていて、そういった日程調整やトラブル対応に慣れている人でない限り、オススメできません。

 

まとめ

チェックポイント!

複数のリフォーム業者を起用する「分離発注」はトラブルが起こりやすい
各業者間の日程調整やトラブル対応は依頼主が「現場監督」となり対応する必要がある
普段仕事等で、業者の手配・トラブル等に慣れていない限り自分でリフォーム工事を「分離発注」することはおすすめできない

複数のリフォーム業者を起用する分離発注は、1つのリフォーム業者に丸ごと依頼するよりも安価になりやすい傾向があります。

リフォーム業者と一口で言っても、得意とする工事は違ってくるため、各々が安価でやってくれる工事だけを依頼主側で発注していけば、最終的にはかなりの費用が節減できることになるでしょう。

しかし、安価で収まる分離発注には、それ相応のリスクが存在します。
そのリスクとは業者間のトラブルを自分で解決していかなければいけないということです。

取りまとめを行うリフォーム業者がいない分離発注では、各業者間の日程調整やトラブル対応は「現場監督」である依頼主が行わなければいけません。

慣れない工事の取りまとめですから、自分のミスでトラブルを誘発してしまうこともあります。しかし、それら全てを自ら対応しなければいけないのです。

日程のトラブル程度なら契約書に基づいて自分で解決できるかもしれませんが、業者のミスによって別の業者に追加工事が発生してしまうなどの業者間のトラブルについては、未経験では荷が重いと言わざるを得ません。

普段、仕事で業者の手配・日程調整・トラブル対応などに慣れているのなら別ですが、そういった経験が乏しい場合は自分でリフォーム工事の分離発注は行わないほうがいいでしょう。



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