住宅のリフォームでは「室内の壁紙を張り替えるだけ」といった小さい工事もあれば、家全体の見た目や間取りまで変えてしまうような大規模な工事まで様々あります。リフォーム工事では、工事の規模に関わらず「追加工事」や「工期の延長」、「見積金額と支払い金額が違う」等トラブルがよく発生します。
それを防ぐために、工事の大小にかかわらず交わしておきたいのが契約書・約款です。 しかし、リフォームを依頼する人の多くは、工事契約書や工事約款は今まで目にした事の無い、初めて見る書類です。急に提示されても、文字の多さや難しい内容に面食らってしまってしまうものです。
この記事では「契約書・契約約款ってどんなものなの?」「どんな点をチェックしたらいいの?」と不安を抱えている方のために、契約書・約款の重要性とチェックポイントについて解説していきます。
この記事でわかること
リフォーム工事において「契約書と契約約款」が重要な理由
リフォーム工事の契約書は、以下のような工事全般についての約束事を書面にしたものです。
- どんなリフォーム工事をするか
- 請負金額はいくらか
- 依頼主は誰で、リフォーム工事の請負者は誰か
- 工期はいつからいつまでか
しかし、リフォーム工事では、契約書通りに進まないこともあります。「工期遅れ」や「材料の間違い」などのトラブルが発生する可能性は少なくありません。工事に伴い発生する可能性があるトラブル等についてルールを定めた、契約書に付属している書類を「契約約款」と呼ばれるものです。
契約約款には「トラブルが発生した際の解決方法」、「損害に対する保証の方法」等についていの取り決めが記載してあります。契約に関する事細かなルールが記載されているため、面倒からずにしっかり目を通してから契約を行う必要があるのです。 難しい、分かりにくいという点があれば、リフォーム会社に説明してもらう必要があります。そして、内容について納得した上で契約書を交わすことが大切です。
また、リフォーム会社によっては工事が小さいものだと契約書を作らないこともあります。口約束では「言った」「聞いていない」とトラブルが起こりがちです。工事内容や工期、工事金額、トラブルが発生した際の解決方法等について、しっかりと「契約書と契約約款」という形で書面を作成して貰うことが重要になります。
契約書の実例と、チェックポイントの解説
主な内容とチェックポイント
工事内容と契約書の見積内容と工事金額
工事内容についてしっかり記載されているかを確認しましょう。また、工事金額については契約書を結ぶ前にもらっている見積書と内容に相違がないかを比較したいものです。リフォーム工事では、打ち合わせを進めていく中で、追加工事や金額の値引きなどが発生していることが多いもの。「この内容と金額で工事を依頼したい」という決め手となった最終的な内容が記載されている見積書をリフォーム会社から貰って、保管しておきましょう。契約書に記載されている内容と照らし合わせ、相違がないかチェックしましょう。
支払方法・支払時期
契約書には、工事代金をどうやって支払うかの記載もあります。「工事が完了したら全額払う」「契約時と工事完了後に半分ずつ」「契約時・工事中間・工事完了後に1/3ずつ」など払い方はいろいろあります。一般的には大きな工事だと分割して支払うことが多いものですが、金額の分割の方法については双方で話し合って決めた方がいいでしょう。
リフォーム会社側の工事請負条件
工事をいつ開始し、いつ終わるという日付が工期として記載されていますが、空欄のまま契約を結ぶことがないようにしましょう。 ただ、工期については状況によって若干変わることがあります。特に、家の外のリフォームでは雨などで思い通りに工事が進まないこともあるからです。 契約書に記載されている日付を見た時に、「工期があまりにも長い」「工期が空欄になっている」など、不審な点があれば説明を受けるようにしましょう。
渡される書類の確認
リフォーム工事では、さまざまな書面が渡されます。見積書、設計図面、間取り図、仕上表、契約書、契約約款など。契約をする上で最も大事なのが、リフォーム工事の内容や金額を記載した「契約書」とそれに伴う細かいルールを記載した「契約約款」です。リフォーム会社によっては、契約書だけ作成して、契約約款が作成されていないこともあります。トラブルを回避する意味もあるので、作ってもらうようにしたいものです。
契約約款の実例と、チェックポイントの解説
主な内容とチェックポイント
完了確認に関する記載
工事が完了した後に、「依頼者とリフォーム会社の両者が立ち会いして確認する」との記載があるかチェックしましょう。 工事前に打ち合わせした図面や資料をもとに、それに基づいて工事が完了したか…を確認していきます。お互いに立ち会いのもと完了確認し、不具合があれば対処してもらうことは大事なことです。
瑕疵担保責任に関する記載
「瑕疵」とは、本来あるべき性能がない状態、つまり不具合のことです。工事終了後の完了確認ですぐに「瑕疵」を見つけることができないケースもあります。そこで、引き渡しをしてから一定期間の間に瑕疵が見つかったときの責任の所在がどうなのかが明記されているかチェックしましょう。
工事の変更に関する記載
リフォーム工事を進めていく途中で、当初の工事内容を変更、あるいは追加で工事をすることも多々あります。契約約款では必要があれば、変更や追加ができると記載されているかを確認しましょう。 ただ、実際に追加工事が発生したときには、口頭だけで済ませるのはトラブルのもと。現場で担当者の方が「ここを追加工事する」と言ったことを無料と勘違いし、後から大きな額を請求されてトラブルになることもあります。 契約書の内容にない追加工事をするときは、必ずお金がかかるものです。トラブルを防ぐには、口頭ではなく追加工事分の見積書を出してもらい、納得の上進めてもらうようにしましょう。
遅延損害金に関する記載
工事請負者であるリフォーム会社側の責任により工事が遅れてしまったら、依頼者側は遅延日数により違約金が請求できる記載があります。仮住まいに住んでいる場合、工事が大幅に遅れると結構な損害になりますよね。こういったケースで損害金が払ってもらえるかをチェックしておきましょう。 一方、依頼者側が工事完了後に工事金額をなかなか支払わないときに、業者側が依頼者に遅延損害金を請求できる旨が記載されています。
クーリングオフに関する記載
リフォーム工事について契約書を交わした後でも、内容によっては一定期間契約を解除できると制度がクーリングオフです。契約書を受け取ってから8日以内であれば解除が可能と記載されているかをチェックしましょう。 リフォーム会社側が自宅に訪問したことによる契約、いわゆる「訪問販売」が条件です。つまり、「リフォームをしたい」という目的を自ら持って、リフォーム会社の事務所で契約書を交わした場合は、クーリングオフの対象外です。
まとめ
チェックポイント!
リフォーム工事の契約書や契約約款は、複雑で細かい記述が多く、全てに目を通すのが億劫になりがちです。
しかし、工事内容、金銭的なことでトラブルが起こった時に「それは契約に含まれていない」と言われてしまえば、依頼主側に落ち度がなかったとしても、強く追及することが難しくなってしまいます。
特に、契約約款についてはリフォーム会社によっては作成を行わない会社も存在します。リフォーム工事でトラブルに巻き込まれないための防衛策として、事前に契約書・契約約款に記載されるべき内容を頭に入れておき、疑問や納得できない項目があった場合、契約を結ぶ前に担当者に確認を取るようにしましょう。