リフォーム工事をできるだけ安く収めようと熟考していると、ふと考え付くのが「材料を自分で安く仕入れて、それを使ってもらう」という方法です。
リフォーム業者が材料を購入する場合、大量に購入できるようなものなら自分で購入するよりも費用は安くなりますが、トイレなどの大量購入できないような製品の場合、購入や管理の手数料が上乗せされるので自分で購入するときよりも高くなりがちです。
しかし、このような方法にはデメリットはないのでしょうか?
この方法が本当に使えるのなら、誰でも同じことをやっているはずで、業者もそれを知った上で営業してくるでしょう。自分で製品を購入して、それを使ってもらうという方法には、もしかしたら実行が難しい問題点があるのかもしれません!
この記事では、施主支給を行う際の確認事項や注意点、成功させるコツやオススメの施行箇所を紹介します。
この記事でわかること
施主支給でよくある失敗例
リフォーム工事で使用する製品は依頼主側で購入・調達し、取付作業をリフォーム業者に依頼すること
使用する材料を依頼主側で用意する“施主支給”が近年流行しています。
リフォーム業者側で材料や製品を用意する場合、手間賃や中間管理費が追加されてしまうため、その分費用がかかってしまいます。
その点、自分達で材料や製品を用意すれば手間賃などがかからないため、費用を抑えることができるのです。
しかし、確かにリフォーム工事の費用をできるだけ削減する手段としては施主支給は有効な手段だと言えますが、建築や配管、電気に対してある程度の知識を持っていないと、製品そのものが取り付けできなかったり、業者との工事日程の調整ミスで、施主支給で用意した材料を取り付けるために、リフォームが完了した箇所をやり直さないと設置ができない等のトラブルが発生することがあるのです。
以下に実際にあった施主支給の失敗事例を記載しますので、参考にしてください。
- 施主支給で用意したトイレがリフォーム用の製品ではなかったため、排水口の位置が合わず取付ができなかった
- 施主支給で用意した洗面台が古い洗面台より一回り小さいサイズだった。壁紙リフォームが既に終わった後で古い洗面台の裏に隠れていた古い壁紙が露出してしまい、依頼主の負担で壁紙を再張替する必要が出てきた
- ネットで無垢のフロア材を施主支給で用意してフローリングの張替を依頼していたが、材料が足りず、工期が大幅にずれ込んでしまった
施主支給で失敗しないために
大掛かりな工事は業者に任せる
施主支給での失敗は、「大掛かりな工事」で起こりやすいようです。
リフォーム工事とは材料を交換・取り付けするだけではなく、他の工事との兼ね合いを見て日程調整や工事を行う職人の手配までが含まれるため、施主支給で用意する材料が取り付けできなかったり、そもそも量が足りずに工期が延期してしまうと自宅のリフォームに携わる全ての業者に迷惑をかけてしまうことになります。
小さな工事の場合は、影響は少なくて済みますが、大掛かりな工事の場合は、トラブルが一度起こると下流の全ての工程に影響が出てしまうため、最終的な日程が大幅にずれ込んだり、膨大な追加費用を支払う羽目になってしまうかもしれません。
施主支給をするということは、製品や材料選びの判断や、工事日に合わせた日程調整まで責任を持って行う必要があるということです。
その責任を全うする覚悟が無いまま施主支給工事を行ってしまうと、先述したような大きなトラブルを招いてしまう可能性があるのです。
ワンポイントで簡単に出来る工事を施主支給で行う
施主支給での工事を成功させるコツは、他の工事と関わらないワンポイントで簡単にできる工事を選んで行うことです。
後の工程に影響しない工事なら、トラブルが発生してもその工程が遅れるだけですし、簡単にできる工事なら工期の日程に左右されずに工事を担当する職人の手が空いた時に、どんなタイミングでも取り付け可能なので、工事日程を調整することなくリフォーム業者に施主支給工事を依頼することができます。
以下に施主支給にオススメしたい工事の具体例を紹介します。
これらの工事の場合、施主支給を行ってもトラブルに発展しづらいため安心してリフォーム業者に提案してみましょう。
施主支給でオススメの施工箇所
① ホスクリーン
取付費用(材料費別):1.5万円程度
悪天候の日など、ベランダに洗濯物を干す事が難しい時に活躍するのが「ホスクリーン」です。
窓際の天井に固定したポールに物干し竿を通すことで必要なときだけ室内で部屋干しをすることができる大変便利な設備です。
使用しない時は取り外し収納することもできるため、近年リフォーム工事で人気の設備です。
設置方法は、部屋の天井の間柱(柱と柱の間に取り付ける補助的な柱)にポールを固定し取り付けるだけで終わり。非常に簡単な工事で、通常30分程度で完了します。
ホスクリーン自体はネットで6000円程度で購入が可能なので、施主支給にはピッタリな設備と言えるでしょう。
② TVドアホン
取付費用(材料費別):1万円程度
玄関のインターホン、もしくは玄関チャイムを「モニター付き、録画機能付きのTVドアホン」へと施主支給品を用意し交換するのもオススメです。
各家庭によって状況は異なりますが、一般的には古いタイプのインターホンやチャイムがついていたとしても、配線を再利用することで簡単な工事で交換することが可能です。
これは施主支給品を用意することで、リフォーム業者に支払う工事費用は1万円程度で済みます。
ただし、電源の移設や増設が必要になる場合(配線が再利用不可能だったり、そもそも配線がなかった場合)は支給品の価格の他に、工事費用が4~5万円程度かかってしまいます。
工事費を安く済ませたい場合、最近は配線工事不要のワイヤレスドアホンタイプの機種も販売されているため(材料代1万6千円程度)、施主支給品として用意してリフォーム業者に取り付けを依頼するといいでしょう。
③ ウォシュレット付き洗浄便座
取付費用(材料費別):2万円程度
暖房便座機能やウォシュレット、脱臭機能など、高機能のトイレは必ずしも必要なものではありませんが、生活していく上でかなりの存在感を出してくるので、トイレは人気のリフォーム工事の一つです。
トイレのリフォームの場合、便器・便座をセットで交換すると床の工事まで関係してしまいます。この場合は大掛かりな工事に該当するので、施主支給はやめておいた方がいいでしょう。
しかし、洋式便器の場合、便器は既存のものを残して便座だけ最新の設備に交換するという手段を取ることが可能です。
その場合、取り付け時間は30分程度で終わってしまう簡単な工事ということになります。
施主支給品としては、高機能の便座を予め購入することになりますが、Panasonicなどの大手メーカー品でも1万円程度でウォシュレット付・脱臭機能付の製品を購入することができます。
④ 玄関ポーチライト(自動点灯センサー付き)
取付費用(材料費別):5千円程度
玄関を美しくリフォームする際に人気なのはポーチライトです。
最新の玄関ポーチライトは自動点灯センサー付きのものが多く、夜間に帰宅した際も「パッ」と自動で点灯してくれるので、暗がりの中でカバンの中から鍵を探し出す・・・といった必要もなくなるという、名も実も取る優秀な製品です。
しかしながら玄関のポーチライトは、100V電源が直結されているため室内の照明器具のように個人で交換することはできません(第2種電気工事士の資格が必要)。
よってリフォーム業者に依頼して、工事を行ってもらう必要があります。
玄関ポーチライトも、他の工事とのつながりがほとんどないため、施主支給品としてオススメな製品です。
ネットで1万円程度で購入することができるので、ぜひリフォーム業者に取り付けを依頼してみましょう!
まとめ
チェックポイント!
施主支給とは、リフォームなどの工事の際に使用する材料や製品を依頼主側で用意して行うことを言います。
手配する手間賃や中間管理料がかからないため、工事費用の節約になる一方、トラブルが発生すると下流の工事に影響が及び、トラブルの規模がどんどん大きくなってしまうというデメリットがあるため、一般の方には不向きな方策です。
しかし、他の工事と関わらないようなワンポイントで簡単にできる工事なら、施主支給の工事を行っても安全です。上記に出した例であれば、施主支給を行ってもトラブルに発展しづらいため参考にしてみてください。
施主支給によるトラブルを避けたい場合、どのような点に注意したらいいでしょうか。
まずは取り付け可能なのか、どのくらいの材料が必要なのかが自分で判断できない場合、施主支給での工事はやめておいた方が得策です。
また、一つの業者で収まる工事ならいいのですが、他業者との日程調整が必要になるような大掛かりな工事の場合も、業者間でのトラブルに発展してしまう恐れがあるので、施主支給はやめておいた方がいいでしょう。