こんにちは、ユウキ(@yuki_housebuild)です!
皆さんは、ニュース等で、良く聞く「ハウスメーカーや工務店の破産」についてどう思いますか?
「購入を予定していた建売住宅が建設途中で倒産?んな事ある訳ないでしょ!」
「注文住宅で手付金の支払いまで済ませて契約をしたのに、工事の途中でハウスメーカーが破産?そんなドラマみたいな事起こり得ないって!」
多くの方は、恐らくこのような認識を抱いているのではないでしょうか。
何を隠そう、私も「ハウスメーカーの破産・倒産何てあり得ない。」心のどこかでそう思っていました。とある物件を見るまでは…。
ハウスメーカーの倒産は現実の物としてあり得る
この記事を書くに至った経緯は、「とある建売住宅で異常な出来事」を目にしたからです。
私が勤務中によく行き来する道中に、確かに3年前くらいだったと記憶していますが、建売住宅の建築が始まりました。
順調に工事が進んで行く経過を見て、「どんな家が出来上がるのかな?」と通りがかる度に観察していました。
ですが、どう言う訳か、その建売住宅はある時期を境に工事の進行がピタッと止まってしまいました。
最初は私もそう思っていたのですが、ついにそのまま工事が再開される事も無く、建物に架けられていた足場も取り払われてしまいました…。
宮城県某所の建売住宅で、上棟後に工事が止まって3年以上経過止している物件があり、通り掛かるたび気になって見ている…。
色々憶測はできますが、何が原因でこういう事が起こってしまうのか、詳しい方がいたら教えて欲しいです😅 pic.twitter.com/xaPyqey6XS— ユウキ🏠住まいのブロガー (@yuki_housebuild) 2019年5月16日
その工事現場の様子を映したツイートがこちら。多くの反響がありました。
木材、黒ずんでるようにも見えますが・・・これは厳しそう・・・倒産かな・・・?
— ザク男爵@マイホームブログ (@xMf0wion0mQfB6f) 2019年5月16日
工務店の倒産の可能性が高そうですよね。倒産した会社が出来高以上に持っていって、施主も資金難でその後工事を続行してるところが見つからなかった?
でもなんで横方向に打ってるだろ、予めわかってた?#すみません独り言です— ジロ@Jiroの端株投資奮闘記 (@JIRO_invest) 2019年5月16日
更には、1級建築士事務所として数多くの新築住宅・マンションの住宅診断を行っているさくら事務所の田村様からも見解を頂きました。
時々弊社に工事がストップした現場のご相談があります。
・施工会社倒産→引き継ぐ工務店が見つからない
・工事中にトラブルで訴訟へ、あるちは交渉が長引く
などが主な原因です。— 田村啓 🏠ホームインスペクター さくら事務所 (@inspectorKT) 2019年5月16日
にわかに信じがたい事に、やはりこの建売住宅は施工を行っていたハウスメーカー・工務店が倒産してしまった線が濃厚なようです…。
倒産したらどうなる?
では、もし自分が購入予定の住宅で、悪夢のような「ハウスメーカーの倒産」という事態に陥ってしまった時、気になるのはどこまで買い主が保証されるかですよね。
気になって、各方面を調査してわかった事があります。
それは住宅の購入においては、建売住宅では”不動産を購入(土地・建物セット)”という扱いで、注文住宅では"建物のみを購入"という扱いになり、売買契約で適応される法律が異なるという事です。
建売住宅の場合
建売住宅を購入する場合、「土地・建物がセットになった不動産を買う」という扱いになるため、契約の種類は不動産売買契約となり宅建業法が適用されます。
そして、宅建業法では「手付金の保全措置」が条文で規定されています。
宅建業法第41条の2に定められているように、宅地建物取引業者が自ら売主となり、買主である一般消費者に完成物件を売却する場合、売買代金の10%または1,000万円を超える手付金等を受領しようとするときには、手付金等の保全措置を講じなければなりません。手付金等保管制度はその一つです。引用:公益社団法人全国宅地建物取引業保証協会
ちなみに、手付金の金額が一定額未満だと、保全対象とはならないので注意が必要。保全措置の対象となる手付金の条件は以下の通りです。
建売住宅が未完成の場合:売買代金の5% または1,000万円を超える金額
建売住宅が完成している場合:売買代金の10% または1,000万円を超える金額
つまり、建売住宅の場合は、万が一記事冒頭で挙げたように契約した物件のハウスメーカーが工事途中で倒産してしまったとしても、契約時に支払った手付金は戻ってくる。(※手付金が少額でなければ)という事ですね。
また、建物完成後の物件を契約後にハウスメーカーが倒産してしまった場合でも、引き渡し前であれば手付金の返還は受けられます。
建売住宅の場合は、悲劇的にもハウスメーカーが倒産してしまった場合でも宅建業法が買主を守ってくれます。だから、不測の事態が起こったとしても「ショックではあるけど、計画を練り直せば問題無し」まだ、その程度の出来事で済むんですね。
では、注文住宅の場合はどうなるのでしょうか…?
注文住宅の場合
同じ「家を買う」にしても建売住宅と注文住宅ではその性質が大きく異なります。
注文住宅は建売住宅とは違い「土地と建物は別々の契約」として扱われます。そして、建物部分に関しては建築主(ハウスメーカー・工務店)と買主間での「建設工事請負契約」になり、建売住宅のように宅建業法が適用されません。
つまり、注文住宅では手付金の保全措置を受ける事が出来ないのです。
公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センターでは、「実際にあった電話相談」として、以下のような実例を掲載しています。
地元の施工業者で木造2階建て住宅を新築中です。現在基礎工事まで終わっています。
本来なら今頃は上棟のはずでしたが、最近、施工業者と連絡が取れなくなり、先日、裁判所から破産手続開始決定の通知書が届きました。(中略)
工事代金2000万円のうち、1500万円を契約時に支払っています。途中から工事を引き継いでくれる施工業者はありますが、今後どうしたらいいのでしょうか。引用:公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センター
上の例では「引き継いでくれる施工業者はある…」という話ですが、もし、1から作り直さないと到底完成まで工事は出来ないと判断された場合は「途中まで進んだ工事の解体費用」まで負担する必要が出てきます。考えただけで頭が痛くなりますね…。
万が一に備えるため、住宅完成保証制度に加入しているハウスメーカーで家を建てよう
「注文住宅の場合、ハウスメーカーの倒産・破産に対抗する術は本当に無いのか?」
そう考えるのは当然ですよね。実は「住宅完成保証制度」という保険制度が存在します。
登録事業者の倒産等により、発注者の支払済金額から既施工部分の出来高を控除した金額(「前払金」)および未履行部分の工事を代替履行業者が引き継ぐ際に生じた手戻り工事費等の「増嵩工事費用」を住宅あんしん保証が保証します。
住宅完成保証の契約では建築会社の都合で工事が続けられなくなった場合、建築途中の建物の所有権は「住宅あんしん保証」に移転します。「住宅あんしん保証」はお施主様の希望により、引継ぎ建築会社を紹介し、完成・お引渡しに向けて円滑に工事を再開することができます。また、完成までに必要となる手続および追加費用は「住宅あんしん保証」が負担いたします。(限度額あり)引用:株式会社 住宅あんしん保証
完成保証の保険もあるぐらいですしね。
うちも昔、よそが倒産してマンションの工事が途中で止まったやつを完成させたことあります— ジロ@Jiroの端株投資奮闘記 (@JIRO_invest) 2019年5月16日
この「住宅完成保証制度」とは、国土交通大臣に指定された住宅瑕疵担保責任保険法人が提供しているものです。
住宅完成保証へ登録しようとするハウスメーカーは、運営する住宅瑕疵担保責任保険法人の審査を通過する必要があります。
審査では会社運営実績や財務状況等が確認されるため、「住宅完成保証制度に加入しているハウスメーカー=倒産のリスクが低いハウスメーカー」とも言えるでしょう。
宮城県某所の建売住宅で、上棟後に工事が止まって3年以上経過止している物件があり、通り掛かるたび気になって見ている…。
色々憶測はできますが、何が原因でこういう事が起こってしまうのか、詳しい方がいたら教えて欲しいです😅 pic.twitter.com/xaPyqey6XS— ユウキ🏠住まいのブロガー (@yuki_housebuild) 2019年5月16日
ちなみに、住宅完成保証制度では、本来受けられるはずだったハウスメーカーの点検保証やアフターサービス部分までは保証範囲には含まれてはいません。
ですが、冒頭で紹介した「工事が停止し野ざらしのまま放置された新築住宅」になるよりはずっとマシ。「手付金が帰ってこないまま泣き寝入りする」よりはずっとマシです。少なくとも住宅の完成・引き渡しまでは持っていけます。