【リフォームの基礎知識】 リフォームと建て替え

「リフォーム」か「建て替え」かの判断基準

2017年6月5日

住宅の改装、修繕の選択肢は2つあります。一つは「リフォーム」、もう一つは「建て替え」です。

リフォームは既存の建物を残しつつ、ポイントを絞って改装するもの。建て替えは一度建物を解体し、更地にしてから新しく建て直す方法です。新築と言っても差し支えないでしょう。

この記事では、リフォームと建て替えの違い、判断基準について詳しく解説します。

この記事でわかること

 リフォームと建て替えの違いと特徴
 それぞれの具体的な事例
 長持ちする住まいのために必要な考え方

リフォームと建て替えの違い

リフォームと建て替え
まずリフォームと建て替えの違いについて確認しておきましょう。

リフォームの特徴

 リフォームのメリット・デメリット
  • 建物の構造体に問題がない場合に行う
  • 建て替えよりも費用が安い
  • 工期が短い
  • 工事中の仮住まいが不要(工事内容による)
  • 壁床の張り替えや住宅設備の交換で内外装は新築に近くなる
  • 既存の構造にそって工事するため制約がある

建物を活かして工事できるので、今の家に思い入れがある人にも勧められます。床や壁の塗り替え・張り替えだけでも外観も耐性も良くなります。

キッチンやトイレなどの住宅設備の交換は既存の給排水管を利用するので、大きく場所が変わらなければ最新設備へも取り替え可能です。柱や壁、窓などの位置変更は元の構造を維持しなければならないために制限がかかります。間取りを変えたい時は事前にリフォーム会社に相談しましょう。

改装・修繕したい場所に的を絞れるので、費用も抑えられますし工期も短く済みます。こだわりを表現しやすいのもリフォームの特徴ですね。

ただし、ピンポイントなリフォームを細切れに何度も発注すると工事ごとに人件費・工事費用がかかります。場所が多いなら一度にまとめてお願いしましょう。

注意として、リフォーム前には必ず現場調査をしてもらってください。既存の建物の構造、いわゆる骨組みの部分に問題がないか床下や屋根裏の点検口からチェックをしてもらうのです。
万が一、シロアリ被害や雨漏りなどの腐食があった場合は建物の寿命が短くなってしまいます。地盤や基礎の状態も同様です。

リフォームでも構造の部材の取り替えは可能ですが費用がかさみます。そのため状態にによっては建て替えも検討が必要です。ちなみに昭和56年以前の建物は耐震基準が現在よりも甘い(建築基準法改正前のため)ので、古い家の場合は耐震性能も判定してもらいましょう。自治体によっては耐震工事に補助金が出ることもあります。

既存の建物の寿命がどの程度で、リフォームによってどの程度伸びるのか。今の状態が悪い場合は建て替えの方がトータルで安くならないか検討することが大事です。

建て替えの特徴

建て替え

 建て替えのメリット・デメリット
  • 建物の構造体に問題がある場合に行う
  • リフォームよりも費用が高い
  • 工期が長い
  • 工事中の仮住まいが必要
  • 建物滅失登記などが必要
  • 最新の工法で一からプランを考えられる

既存の建物を解体し、一から新しく建てるのが建て替え。新築住宅を建てるのと同じなので過程を楽しめる方法ではあります。またリフォーム前の調査で構造体に問題が発覚した場合は建て替えを選択することが多いです。

当然工期は長く、費用も高くなります。工事中は家を出なければならないので、その間の仮住まいも必要です。アパートを借りるならその家賃、引越し費用もかかるので費用面はどうしてもかかりますね。

また、自分でやることはありませんが(する人もいますが)建物滅失登記、表題登記、所有権保存登記などの登記も必要・費用がかかることは覚えておきましょう。建物を解体した時に更地になるので、建物がなくなった登記をしなければならないんです。建てたあとは所有者である登記をします。

金銭面のハードルはあるものの、建て替えのメリットは何と言っても「新しい家を一から作れる」ところ。家族のニーズや将来設計に合った家をプランニングできます。

リフォームと建て替えの判断方法

まずは今の家にどんな問題があって、どう変わったら住みやすくなるのかを理解することからです。

ライフプランを考えたうえでリフォームと建て替えのどちらが適しているのかを判断しましょう。

一例として、具体的なケースを挙げてみます。必ずしも全員が当てはまるものではないですが、イメージとしてご覧ください。

リフォームを選ぶケース

屋根や外壁の塗装が劣化してきた、小さいヒビがある

経年による色褪せや、構造に問題がない外壁材のヒビなどはリフォームで修繕可能です。専用塗料で塗り替えたり上から張り重ねたりで対応できます。

内装を自分好みに変えたい

理想の部屋があるけれど、自分の手でどうにもならない・プロにお願いしたいとき。壁紙やフローリングの張り替え、照明の変更で部屋の印象はガラッと変わります。

キッチンやトイレ、お風呂が古くて使い勝手が悪い

昔から使っているキッチン、収納を増やしたい。IHにしたい、食洗機も便利そう…など、今ある住宅設備を新しいものに交換したい時。

冬場のトイレやお風呂は温度差があり体に負担がかかるので、年配の方がいる家では暖房機能を追加することがあります。手すりの取付けも費用対効果が高いです。

壁やドアを追加して部屋を分割したい

既存の下地によっては壁やドアを追加できます。子供が増えて部屋を追加したい、小さな書斎を設けたい、簡単な二世帯住宅として家を分割したいなど。

低予算で修繕したい

お金はあまり出せないけれど、要所要所で直すのであればリフォームで対応できます。工事期間中引っ越すこともないので手軽です。しかし木を見て森を見ず…一部の修繕に追われて、家全体の寿命を見ないようなことは避けましょう。

建て替えを選ぶケース

建物自体が古く、構造に歪みがあり断熱材もなく寒い

古くとも立派に残っている家はありますが、湿気や災害などで歪み・腐食・破損が出て来ることも。

昔の家は断熱材が入っていない上に、立て付けの悪さが加わると隙間風で寒々しかったり。全体的にこのような状態であれば新しく建て直したほうが無難です。高気密、高断熱な暖かい家を建てることができます。

本格的な介護が必要な家族がいる

在宅介護では、基本的に生活スペースは移動距離が少なくすると便利。

ベッドのある部屋からキッチン、トイレまでの距離が短いほうが安心という感じです。そういった間取りへの変更や、車椅子のために廊下や風呂トイレの入り口を広げるなど全体的な改装は建て替え向き。

一部共有・完全分離の二世帯住宅にしたい

水回りや玄関を別にした二世帯住宅にする場合も建て替え向きです。

上下、左右での分離にかかわらず大幅な間取りの変更、住宅設備の増設になるため給排水・電気工事、耐力壁の位置など見直すべき箇所が多いのです。入居する世帯の要望もそれぞれのため、じっくり話し合い納得いく建物を建てましょう。

まとめ

チェックポイント!

リフォームは安く小回りの効く方法
建て替えは家そのものを一から設計できる
将来を考えた家のメンテナンス・プランニングをしよう

リフォームで費用負担が少なく改装し、今の家に大事に住み続けるか。お金はかかっても新しく建て替えて機能性の高い家を手に入れるか。

大切なのは、自分や家族が安心して住める家かどうか。リフォームと建て替え、それぞれのメリットとデメリットを把握して、未来の生活を見据えた判断をできるようにしましょう。



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